ソノダマリ(マンションポエム国際比較調査員)
あの日、大学時代の友人から届いた結婚式の招待状。郵便受けの奥から、他のDMとは明らかに異なる「かたまり」が指先に触れた。取り出してみると、封筒一枚で立つような厚み。開く前から、その紙の量感が、この先の祝宴を物語っているようだった。表には銀色の活字。光にかざすとわずかに浮き上がるエンボス加工に、指の腹を滑らせる。結婚式の招待状で、これほどの紙に触れた経験はない。
中には余白の多い招待状。シンプルだが、隅々まで品格が漂う。本文の末尾には見慣れた定型文。
ご出席いただければ幸いです
数週間後、別の友人からも結婚式の招待状が届いた。郵便受けから出したそれは、ありふれた薄さだった。手触りも、ごく一般的な印刷物。特別な感慨はない。表の文字はインクが平らに乗っていて、触れてもただの紙だった。中身も同様に、薄手の紙にシンプルな活字。「ご出席いただければ幸いです」と、同じ文面が並ぶ。もちろん、この友人もソノダにとっては大切な存在である。しかし、返信はがきをすぐに書く気にはなれなかった。
招待状は、しばらく机の隅に置かれたままだった。返事をためらう理由は、自分でもうまく言葉にできない。本当に「多忙」を言い訳にするのか。あるいは、もう少し、先の予定と照らし合わせて考える必要があるのか。いや、そうではない。一度、そう考え始めると、次から次へと適当な理由が頭に浮かぶ。結局、はがきを前に何度か深呼吸をして、ようやく、出席に丸を打った。あの最初の招待状を手にした瞬間の、あの迷いのなさとは対照的だ。この差に、わずかな罪悪感がつきまとう。自分は、見かけに左右される人間なのか。
もちろん、両方の式に出席した。友人たちの門出を祝う気持ちに、嘘偽りはない。ただ、あの招待状の紙質が、ソノダの返事の速度を変えたことは事実だ。定型的な言葉以上に、物質的なディテールが、招く側の熱量を雄弁に伝えていた。それは、期待されるであろう返答を、自らの内側に作り出すほどの、強烈な体験だった。
ソノダマリ(マンションポエム国際比較調査員)
あの日、大学時代の友人から届いた結婚式の招待状。郵便受けの奥から、他のDMとは明らかに異なる「かたまり」が指先に触れた。取り出してみると、封筒一枚で立つような厚み。開く前から、その紙の量感が、この先の祝宴を物語っているようだった。表には銀色の活字。光にかざすとわずかに浮き上がるエンボス加工に、指の腹を滑らせる。結婚式の招待状で、これほどの紙に触れた経験はない。
中には余白の多い招待状。シンプルだが、隅々まで品格が漂う。本文の末尾には見慣れた定型文。
ご出席いただければ幸いです
数週間後、別の友人からも結婚式の招待状が届いた。郵便受けから出したそれは、ありふれた薄さだった。手触りも、ごく一般的な印刷物。特別な感慨はない。表の文字はインクが平らに乗っていて、触れてもただの紙だった。中身も同様に、薄手の紙にシンプルな活字。「ご出席いただければ幸いです」と、同じ文面が並ぶ。もちろん、この友人もソノダにとっては大切な存在である。しかし、返信はがきをすぐに書く気にはなれなかった。
招待状は、しばらく机の隅に置かれたままだった。返事をためらう理由は、自分でもうまく言葉にできない。本当に「多忙」を言い訳にするのか。あるいは、もう少し、先の予定と照らし合わせて考える必要があるのか。いや、そうではない。一度、そう考え始めると、次から次へと適当な理由が頭に浮かぶ。結局、はがきを前に何度か深呼吸をして、ようやく、出席に丸を打った。あの最初の招待状を手にした瞬間の、あの迷いのなさとは対照的だ。この差に、わずかな罪悪感がつきまとう。自分は、見かけに左右される人間なのか。
もちろん、両方の式に出席した。友人たちの門出を祝う気持ちに、嘘偽りはない。ただ、あの招待状の紙質が、ソノダの返事の速度を変えたことは事実だ。定型的な言葉以上に、物質的なディテールが、招く側の熱量を雄弁に伝えていた。それは、期待されるであろう返答を、自らの内側に作り出すほどの、強烈な体験だった。