最後の、グリーティング(第二稿)
別の身体へ、同じ動きを移す日

コテガワユメ(29歳・遊園地のキャラクターアクター7年)

同僚が今日で辞める。お客さんには言わない。言えない決まりだからではなく、言う場所がないからだ。あの被り物の顔に引退はない。中で誰が手を広げているかは、はじめから数えられていない。彼女の最後の三十分を、私はすぐ横で見ていた。

朝、控え室の壁のシフト表に、彼女の名前があった。私はその一行の、彼女の名前と私の名前の並びを見ていた。来月の表には、ここに後輩の名前が入る。彼女の字でも私の字でもない、まだ見たことのない名前が、同じ枠に。表は印字されているだけで、何の説明もない。私はもう一度、二つの名前の並びを見て、ロッカーへ行った。

身体が資本だから、辞めどきは膝が先に決める。彼女は「もう階段でわかるよ」と言った。降りるとき、片足ずつ手すりに体重を預けるようになったと。膝が、結婚が、別の仕事が——理由はそれぞれでも、この仕事の卒業は、頭で決める前に脚が決めている。私は「うん」とだけ言った。声を出さない仕事の癖で、私たちは控え室でもあまりしゃべらない。

その前の週、私は後輩に所作を教えていた。鏡の前に二人で立つ。手を広げる驚きは、肘から先で広げると子に被り物の影が落ちるから、肩ごと開いて影を横へ逃がす。頬を包む両手は、顔ではなく頬の少し下、親指が顎に触れる位置で止める。口では言えないから、私が動いて、彼女が映りを見て真似る。彼女の肘はまだ最後まで伸びきって、影が子の側へ倒れていた。同じ動きが、別の身体の中で、別の角度を探していた。

最後のグリーティングの列を、私はアテンドの位置から見ていた。彼女の前に立つ足元が、いつも通りに替わっていく。駆け寄るつま先、親の足の後ろから片足だけ覗く運動靴、こちらへ向いたまま離れたがらないかかと。彼女は一人ずつ膝をついて、指を下から支えていた。三十分。何ひとつ変えなかった。変えないことだけを、最後まで続けた。

終わって、彼女が控え室に戻ってきた。頭部を外す。ふだんは外したそばから腕に抱えて棚へ放るのに、その日は両手を耳の高さに添えて、まっすぐ持ち上げ、棚の布の上に、音を立てずに置いた。それから一拍、置いた頭部の正面に手を置いたまま、動かなかった。私は自分の保冷剤を入れ替えるふりをして、その一拍を、横で数えていた。彼女は何も言わず、私も訊かなかった。

翌週、後輩の最初のグリーティングを、私はアテンドで横についた。彼女の前で、運動靴のつま先が一度こちらを向き、それから半分、親のほうへ回った。迷っている足だ。後輩の膝はつくのが半拍遅れ、つま先が回りきる前に、影が落ちないよう肩を開いて待った。教えた角度だった。私はあと何年この位置に立てるかを数えない。数えると膝がためらう。今日の列の、いちばん近い足元だけを見て、背中で「右」と一回、後輩に合図を送った。

このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。

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