解体の、朝(第二稿)
ばらしは組みの倍、声を出せ

クレバヤシソラ(25歳・足場鳶7年)

解体の朝も、KYから始まる。今日どこで何が落ちうるか、声に出す。組むときと同じ言葉で、消す手順を確かめる。違うのは、親方が最後に一言足すことだ。「ばらしは組みの倍、声を出せ」。組むより、外すほうが早い。早いから、危ない。

組むときは、下から積む。一段ずつ足元ができてから上がるので、急ぎようがない。外すときは上から外して降ろす。上の手すりを外した時点で、もう体は「終わった」気でいる。その気が、手を一拍早める。一拍早い手が、まだ握っていない下の手に部材を放す。落ちる事故は、たいていこの一拍だ。

クサビを抜く。組むときはハンマーで上から打ち込んで決める。決まるとカンと高い。外すときは同じハンマーを下から当てて、緩める方向に叩く。最初はコンと鈍く、緩むとカンと変わって、緊結部から浮く。浮いたら手で引く。抜けたクサビは飛ぶから、抜いたそばから腰の缶に落とす。同じ工具、同じ音の聞き分け、逆の向き。組みで覚えた耳を、外すために使う。

部材は手渡しで降ろす。支柱は縦に持って、下の人間が下端を握る。握ったのが見えてから、上が離す。踏板はフックを上にして渡す。重い束は、いったん腿で受けてから持ち替える。「いくぞ」「よし」。声が先で、手はあと。下の手が握る前に離せば、それがさっきの一拍になる。だから順番を守る。見てから、離す。

最後の支柱を引き抜いたとき、壁が出た。三か月、網と単管の格子越しにしか見ていなかった面が、いきなり目の前に立つ。タイルだった。薄い砂色のタイルで、目地の線がまっすぐ通っている。こんな色だったのか。毎日その前で結んでいたのに、色を一度も正面から見ていなかった。

足場が消えた現場には、俺たちの跡がほとんどない。ジャッキベースを据えていた場所に、養生板の四角い跡がうっすら残っている。それだけだ。三か月通った場所が、半日で、誰もいなかった顔をする。残るのは、缶いっぱいのクサビと、トラックの上の部材の束だけだ。

一日の終わりは、員数点呼。トラックの上で、声に出して数える。「支柱、四十二本」「踏板、八十枚」「クサビ、缶ひとつ」。組んだときと同じ数が、束に戻って帰る。数が合わなければ、現場に何か残してきたということだ。だから最後まで、声に出して数える。数えきって、トラックが出ると、砂色のタイルだけがそこに残る。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。