入れ替えの、朝
新景品が入荷する日、どの台に何を入れるかを決める

クルスアオイ(26歳・ゲームセンターの景品担当6年)

新しい景品が入荷する日の朝は、開店の二時間前に店へ入る。バックヤードに積まれた段ボールを開け、どの景品をどの台に入れるかを決める。アームの設定をいじる前に、まず「どこに置くか」を決める。それが私の一日の始まりだ。窓のないバックヤードには、まだ誰もいない静けさが満ちていた。

段ボールはカッターで上だけ開ける。横を切ると、中の景品の箱に刃が当たることがあるからだ。新作のフィギュアは緩衝材にくるまれて、ぬいぐるみは圧縮されてぺたんこで届く。袋から出すと、ぬいぐるみはゆっくり膨らんで元の形に戻っていく。その膨らむ時間を待っているあいだ、私は配置図を広げる。店内の台を上から見た図に、今日どの景品をどこへ入れるか、鉛筆で書き込んでいく。

人気キャラの新景品は、入口に一番近い台へ入れる。通路を歩いてくる客の目線の高さと、台のガラス面の角度を計算して、外からいちばんよく見える位置に景品を立てる。入口から見て景品の正面が見えるように置くか、横顔が見えるように置くかで、足が止まる客の数が変わる。新作は「入った」と気づかれることがすべてなので、見えることに全部を賭ける。

旬の過ぎた景品には、行き先がある。入口近くの台から、奥の台へ移す。奥の台は通路の突き当たりで、目当ての客しか来ない。そこへ移すと同時に、設定を一段ゆるめる。値下げの札は貼らないが、取りやすくすることが値下げの代わりだ。それでも動かなくなった景品は、最後は詰め合わせの台へ送られる。種類のばらばらな景品が一つの台に集められ、何が当たるかわからない台になる。景品にも一生があるのだ。

台にはそれぞれ客層がある。入口の大きな台は家族連れが多く、子どもが取れないと親が代わりに挑む。中ほどの小さめの台はカップルがよく遊ぶ。奥のフィギュアの台はガチ勢、つまり攻略勢の領域だ。不思議なことに、同じ景品でも入れる台が違うと動き方が変わる。家族連れの台では早く取られ、ガチ勢の台では長く残る。彼らは取れる確証があるまで手を出さないからだろう。台が客を選ぶのか、客が台を作るのか、私にはまだわからない。

入荷日には、入荷日に来る常連がいる。発売日に店頭に並ぶ予約勢のように、彼らは新景品が入る曜日を知っていて、開店と同時に入ってくる。誰かがスマホで「この店、入った」と書くと、その速さで人が増える。私が配置図の最後の一台を埋め終わるころには、ガラスの外に人影が立っていることもある。彼らは私が今朝どの台に何を入れたかを、私より早く把握しているように見えた。

景品の種類で置き方は変わる。フィギュアは重くて倒れやすいから、底の広い面を下にして、アームが掴む取っ手の部分を上に出す。ぬいぐるみは軽くて形が崩れるから、タグをアームの可動域のどこに逃がすかで難易度を作る。お菓子の詰め合わせの袋物は、滑り止めシートの折り方ですべてが決まる。重さと形が、置き方を決めている。かわいさは関係ない。

開店して一時間で、人気景品は消える。残り一つになった台に、私はバックヤードから補充を運ぶ。在庫の箱を抱えて通路を歩くと、待っていた客が「まだありますか」と聞いてくる。あります、と答えて、私はまた朝と同じ手つきで景品を立てる。一度立てた角度を、私は覚えている。朝に決めた「見える角度」を、補充でも崩さない。

入荷の朝は、入れ替えの朝だ。新しい景品が入口に立ち、旬の過ぎた景品が奥へ下がり、最後は詰め合わせに混ざって名前を失っていく。私はその出世と引退をぜんぶ、自分の手で決めている。景品にも序列があり、寿命がある。それを毎朝決めているのが私なのだと思うと、この仕事は配置の仕事であると同時に、見送りの仕事なのかもしれない。今日も段ボールが積まれている。

——補記:この第一稿は辛口レビューを受け、第二稿で書き直しました。第一稿・レビュー・第二稿を並置して、改稿の過程を記録しています。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。