辛口レビュー
——「個人情報保護法以降の「〜させていただきます」の増殖」第一稿について

着眼点自体は悪くない。「〜させていただきます」を、単なる過剰敬語ではなく、同意の演出として読む視点には芯がある。ただし、第一稿は最初から最後まで論点が予定調和で進み、具体の場面に降りず、抽象語の圧で“わかった感じ”だけを先に作ってしまっている。いちばん惜しいのは、怒るべき対象が見えているのに、文体が常に優等生で、危険や不快さが生身の温度で出てこない点だ。

1. 予想どおりに落ちる箇所

「この丁寧な響きを持つ言い回しは、単なる美化に留まらず、情報主体の同意をどのように『取得』し、またその同意がどのように『表現』されるべきかという問いと深く結びついている。」

一段落目で結論をほぼ全部言ってしまっているので、その後は読者が予想したとおりに「丁寧語は同意を偽装する」という着地点へ滑っていくだけになる。途中で視点が反転したり、具体例が論を裏切ったりしないから、論旨は明快でも読後感は平板だ。エッセイというより、最初に要旨を置いた小論文の展開になっている。

2. LLM くさい叙情装置

「その法の精神を具現化する言葉として『〜させていただきます』が過剰に用いられる現状は、同意の本質を問い直す契機を与えている。」

「法の精神」「同意の本質」「契機を与えている」あたりは、意味の輪郭がぼんやりしたまま格調だけを上げる、いかにも生成文らしい抽象修辞だ。きれいに流れるが、読者の目に残る像がない。叙情ではなく、抽象名詞の連結で深さを演出しているだけに見える。

3. 留保語尾過剰(〜と思う/〜かもしれない/たぶん 等)

「多くの人が感じるところだろう。」「危惧がある。」「真の対話が失われるかもしれない。」「置かれがちだ。」

数としては多すぎるほどではないが、要所要所で逃げ道を作っていて、批判の刃が鈍る。「そう断言できる場面」を書くべきところで、常に一段引いているので、作者が自分の主張に最後まで責任を持っていない印象が出る。辛口にするなら、保険語尾は半分以下でいい。

4. 作者が本当には見ていないディテール

「例えば、『お客様の情報を分析させていただきます』という言い回しは、一見すると丁寧な依頼のように聞こえるが、多くの場合、拒否の選択肢が事実上存在しないか、非常に限定的である。」

ここは本来、画面のどこに小さくチェック欄があるのか、コールセンターでどんな抑揚で読まれるのか、規約のどの段落で逃げ道が塞がるのか、そういう現場の細部が要る。だが実際には「例えば」と言いながら、まだ一般論のままだ。見た文ではなく、ありそうな文を置いている感じが強い。

5. まとめすぎ・回収しすぎ

「単なる定型句として消費されるのではなく、情報主体の真の理解と納得に基づく同意形成へ向かうためには、言葉の選択とその背景にある意図を、より深く見つめ直す必要がある。」

最後があまりにもきれいに“正しい話”へ着地していて、文章全体のざらつきが消えている。読者に残るべき違和感や怒りまで回収してしまい、行政文書みたいな締めになった。結論をまとめるより、ひとつの不快な実例を突きつけて終えたほうが強い。

6. 象徴装置の反復押し付け

「この『させていただきます』は、同意を『求める』というよりは、すでに得られた、あるいは当然得られるべき同意であるかのように提示する修辞的な機能を持つ。」

「〜させていただきます」という一表現に、法令遵守、権力非対称、同意の偽装、対話の喪失まで背負わせすぎている。もちろん象徴としては使えるが、反復されるたびに説明が同じ方向へ増幅して、押しつけがましくなる。象徴は一度刺せば足りるので、あとは別の場面や別の文体へ散らしたほうが厚みが出る。

7. 他エッセイでも言える文

「このような言語習慣の広がりは、社会全体のコミュニケーションパターンにも影響を与えている。」

この一文は、主語を「SNS」「AI」「若者言葉」「広告コピー」に替えても成立してしまう。つまり、この文章でしか言えない固有性が弱い。エッセイは正しさより、そこにしかない観察の偏りで立つので、汎用文は削るか、固有の場面に言い換えるべきだ。

8. 自己赦し結び・キャラ印

「より深く見つめ直す必要がある。」

この種の結びは、厳しく批判したあとに急に“思慮深い人”として着地する自己赦しのサインになりやすい。結局だれも傷つけず、作者の良識だけが残る。第一稿のキャラ印は「冷静でバランス感覚のある研究助手」だが、その無難さが文章の毒を抜いている。

総括——残すべき核

残すべき核は、「丁寧語が同意の演出装置になる」という一点だけでいい。法制度の説明や社会全体への一般化は削り、実際の申込画面、規約文、窓口文言など一つか二つの具体場面に絞って、その場で相手の拒否可能性がどう奪われるかを執拗に見るべきだ。結論も“見つめ直す必要がある”では弱いので、読者がその言葉を次に見たとき気味悪さを思い出すような、具体と不快さの残る終わり方に変えたほうがいい。

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このページの辛口レビューはAIによる独立の読者視点として生成されました。