土の、試験室
コアの、その後

サワタリミオ(37歳・地質調査のボーリング技士15年)

現場で抜いた土は、現場で終わりではない。筒に詰めて持ち帰り、試験室に渡す。地面の下から抜いてきた土が、数字に変わっていく場所だ。私は現場の人間だが、その数字になる工程も、何度ものぞいてきたと思う。

乱さない試料は、現場でサンプラーごと両端を蝋で密封してある。試験室でその封を開けるとき、いつも少し緊張する。地面の中にあったときの、ぎゅっと詰まった姿のまま、土がそこにいてくれるかどうか。封を切ると、地下の湿った匂いが、しばらくぶりに部屋へ出てくる。土が、まだ生きていた。

まず含水比を測る。土を缶に取って秤に載せ、百十度の炉で乾かし、水が抜けた分の重さを引く。湿った土と乾いた土の差が、その土の含んでいた水の量になる。地面の下で土を満たしていた水が、数字一つに置き換わっていく。土が、少しずつ自分のことを語りだすようだった。

粒度試験では、土をふるいの段に載せる。目の粗いふるいから細かいふるいへ、上から下へ。揺すると、礫は上に残り、砂は中ほどで止まり、いちばん下の受け皿にシルトと粘土の細かいのが落ちる。段ごとに重さを量れば、その土が何でできているかの内訳が出る。現場で手のひらに感じたざらつきが、ふるいの段の上に、目に見える形で並んだ。

圧密試験は、気の長い試験だ。粘土の供試体に重りを段階的に載せ、沈んでいくのを測る。一段載せたら、その日のうちには終わらない。翌日も、その翌日も、わずかずつ沈み続ける。何日もかけて、土が落ち着くのを待つ。せかしてはいけない試験なのだろう。土には土の時間があって、こちらが合わせるしかない。

三軸圧縮試験では、円柱の供試体を横から水圧で締めながら、上から押していく。押し続けると、あるところで供試体が壊れる。砂は、ぼろりと崩れるように。粘土は、斜めに一本の面を作って、ずるりと滑るように。壊れる形が、その土の性格そのものだった。どう壊れるかで、土の強さがわかる。

試験室には、砂の缶と粘土の缶が並んでいる。砂は指のあいだをさらさらと逃げ、粘土は指に貼りついて離れない。現場で十五年さわってきた手触りと、試験室の数字とを、私はいつも頭の中で往復させる。手が覚えている土と、紙の上の数字とが、同じ一つの土であることを確かめるように。

試験が終わると、数字が報告書に並ぶ。N値、含水比、粒度、圧密係数、せん断強さ。設計の人は、この数字を見て基礎を決める。杭を何メートル打つか、地盤を改良するか。私が筒に詰めて持ち帰った一本の土が、いつか誰かの建物の重さを受け止める。数字の重みが、私の仕事なのだ。だから、いいかげんな数字は一つも書けない。地面は嘘をつかないのだから、私たちも嘘をついてはいけないのだと、報告書の最後の桁を確かめながら、いつも思う。

——補記:この第一稿は辛口レビューを受け、第二稿で書き直しました。第一稿・レビュー・第二稿を並置して、改稿の過程を記録しています。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。