急に冷めたサークル(第二稿)
誰かが「もう来ない」と言った日

ソノダマリ(マンションポエム国際比較調査員)

大学図書館の奥、使われない会議室が私たちの秘密の場所だった。埃だらけの学術雑誌が壁に並び、窓からは荒れたテニスコートが見えた。月に一度、持ち寄った本について語り合う。サークルと称したが、二十人ほどの親睦会だ。誰もが普段語らない熱量を曝け出す場だった。

三年続いた。誰が休んでも場は賑わった。特にケンが話す時はそうだった。彼はいつも古書店の片隅で見つけたような、擦り切れた哲学書や地方史を携え、登場人物の葛藤を身振り手振りで語る。あの頃、彼が夢中だったのは、19世紀末ドイツの無名詩人による散文詩集だ。抑揚のある彼の声が、静かな部屋に熱気を生んだ。皆、前のめりになった。

冬の終わり。ケンは俯きがちに「来月から来られない」と告げた。就職活動のためだ。皆、口々に「頑張って」と形式的な言葉を返したが、声には困惑が滲む。翌月、ケンはいなかった。定位置だった窓際の席は空虚に広がり、テーブルのビスケットだけが目についた。いつも彼の話を引き継いだジュンは、ずっと文庫本を弄っていた。話題が途切れ、気まずさに耐えかねた誰かが、旅行の話を始めた。

二度目の春。参加者は十人を切った。以前ケンやジュンが自然と埋めた会話の空白を、誰も埋めようとしない。中央に置かれた、いつもの倍の煎餅袋が場違いに見える。会議室の隅、ケンが使っていた古びた地球儀には薄い埃が積もる。言葉は宙に浮き、落ちどころを見失う。私たちは、そこに「居る」ことの意味を、静かに問い直され続けた。

ケンの言葉から半年。集まったのは、三人だけだった。広すぎる部屋で、互いの顔色を窺いながら、それぞれの小説の冒頭を訥々と読み上げた。声は壁に吸い込まれ、響かない。一冊読み終える頃には、話すべき言葉は見つからなかった。私は村上春樹の「羊をめぐる冒険」を静かに閉じ、席を立つ。他の二人も無言で荷物をまとめた。誰も別れの挨拶をせず、ただ静かに部屋を出た。外は、からりとした五月の風が吹いていた。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。