急に冷めたサークル
誰かが「もう来ない」と言った日

ソノダマリ(マンションポエム国際比較調査員)

大学の図書館の奥、滅多に使われない会議室があった。壁には埃をかぶった論文集が並び、窓からは遠く、運動部の掛け声が微かに届く。私たちはそこを「読書サークル」と称して使っていた。名は堅苦しいが、実際は二十人ほどが集まる和やかな場だった。月に一度、各自が持ち寄った本について、時間を忘れて語り合うのが習わしだった。

三年の間、その習慣は途切れることなく続いた。誰が欠けても、残りの者で賑やかさは保たれた。本の内容は様々。歴史小説から哲学書、新刊ミステリー、時には絵本まで。誰もが自分の好きなものを熱っぽく紹介し、互いの知らない世界を覗き込んだ。それが何より心地よかった。特にケンという男が語り始めると、部屋の空気は熱を帯びた。彼はいつも珍しい本を見つけ、その粗筋と核心を、まるで自分が書いたかのように面白く語った。皆が彼の話に引き込まれ、深く頷いた。

ある冬の終わり、ケンは静かな声で言った。「来月から、就職活動が本格化するから、しばらくは来られない」。一瞬、沈黙が落ちた。すぐに皆が「頑張って」と声をかけた。仕方がないことだと、誰もが理解していた。彼がいなくとも、サークルは続くはずだと。そう信じていた。しかし、翌月の集まりでは、いつもの顔が一つ足りないだけでなく、その不在が部屋の広さを強調しているようだった。彼の親友だったジュンが、終始窓の外を眺めていた。そのまた翌月、ジュンもまた、「時間が取れなくて」と顔を曇らせていた。その月、集まったのはざっと十五人ほどだった。

季節が巡り、桜が散る頃、部屋の様子は静かに変わっていった。席の間隔は広がり、テーブルの上がやけに空っぽに見えた。参加者の少ない回には、菓子も余る。話題を探す視線が、以前よりも長く宙を彷徨うようになった。以前はケンが話を切り出し、ジュンが広げる役目を自然と担っていた。彼らが去った後、その役割を意識的に果たそうとする者はいなかった。ただ、話は盛り上がらず、気まずい沈黙と共に時間が過ぎた。

ケンの最初の言葉から三ヶ月後、集まったのはわずか六人だけだった。それでも私たちは本を広げ、細々と声を交わした。だが、話の端々に、不在の者たちの影がちらつく。彼の話を聞きたかった、彼女の意見はどうだろう。そんな独り言が、時折会話に混じる。一時間も経たずに、話すべき言葉は尽きた。誰もが時計を見た。解散の言葉もなく、皆、それぞれに荷物をまとめ、静かに部屋を出ていった。その日は雨だった。

それから半年後、読書サークルの活動は、いつの間にか途絶えていた。誰も終わりの言葉を告げなかった。ただ、図書館の会議室は、かつての静寂を取り戻しただけだ。壁には、相変わらず埃をかぶった論文集が並ぶ。窓から聞こえる運動部の声だけが、三年前と同じようにそこにあった。二十人の集まりを支え、あの和やかな時間を生み出していたのは、ケンという個人のリーダーシップではなかったのだ。皆が、ケンがそこに「来る」という、ただそれだけの、何気ない事実を、当たり前の空気のように共有していた。それだけのことだった。

——補記:この第一稿は辛口レビューを受け、第二稿で書き直しました。第一稿・レビュー・第二稿を並置して、改稿の過程を記録しています。

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