冬の、製造場(第二稿)
雪の窓のそばで、豆粒を育てる季節

スドウリュウセイ(42歳・花火職人20年)

大会が終わって筒を仕舞うと、製造場の季節になる。十一月の朝、回転桶を回す。火薬の核を入れ、星掛けの液を柄杓で掛け、桶を回して核に着けては、棚へ移して乾かす。一日で一回り。掛ける液は、指を入れて温度を確かめてから使う。冷たすぎる液は、核の上で凍る。

星掛けは、待つ。一日に掛けられるのは一層か二層で、それ以上は乾く前に次を掛けることになり、表面が荒れる。三日目の星は、まだ手のひらに乗せても重さを感じない。十日目になると、転がしたとき、乾いた砂のような音が立ちはじめる。湿った核は、ころがる音がにぶい。私はその音だけで、棚に戻すか、次を掛けるかを決める。

製造は冬に集まる。夏は液が乾かず、掛けた層が流れる。乾いた冬は、棚に並べた星の乾きがそろう。乾燥棚は径ごとに段を分け、いちばん下に掛けたての小さい星、上の段に径の上がったものを置く。冬の敵は凍結だ。液が乾く前に凍ると、星は内側から割れて、断面に細いひびが走る。だから棚のある小屋は、夜も五度を切らせない。私は朝いちばんに、温度計を見にいく。

机に、来年の競技玉の設計図を広げる。審査員は、菊の尾の長さを数える。尾が短ければ点が伸びず、長すぎて乱れれば減点になる。私は外周の一段だけ、尾を引く星を他より長く仕込むつもりでいる。同心円の七段のうち、六段は教わった通りに、いちばん外の一段だけを賭ける。割れたとき、菊の外周だけが半呼吸長く尾を引く。その半呼吸を、審査員が数えてくれるかどうか。

年の暮れ、火薬庫の台帳を開く。種類ごと、等級ごとに、棚の量を量って書き込む。法で許された量を、一グラムでも超えてはならない。一度に多くを置かず、火薬は別の小屋に分ける。台帳の数字と、量りの目盛りが合わなければ、その日の作業は始めない。冷たい庫で、私は鉛筆を手に、一行ずつ、数字と棚の缶を指さして照らし合わせる。

製造場は静かだ。聞こえるのは、回転桶の縁が一定の間で鳴る音と、乾いた星を棚に置くときの、米粒を撒くような音。それと、自分の鼻がすする音。夏の筒場で焼けた手のひらの皮が、この季節にようやく剥けて、新しい皮になる。打ち上げのあと何日も鼻の奥に残った火薬の匂いも、冬の小屋では、もうしない。

雪の日があった。作業場の窓が内側から白く曇り、私は手の甲で一か所だけ拭った。その丸い穴の向こうで、雪が落ちていく。拭いた指は、桶を回していたせいでかじかんでいた。手のひらには、今朝掛けたばかりの星があった。まだ豆粒で、白く、転がしても音が立たない。半年後、これは三百メートルの空で割れる。いまは、私の冷たい指の上で、ただ湿っている。

桶を回す。柄杓で掛ける。棚に並べる。明日も、外周の一段の星を、他より少し長い尾に仕込む。径が一ミリ増えるたびに、手のひらの重さが変わる。私はその重さを指で量りながら、外周の一段が、空でどれだけ尾を引くかを、まだ知らずにいる。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。