ソノダマリ(マンションポエム国際比較調査員)
ワタナベの妻は一階の角部屋に住んでいた。ベランダには、彼女が丁寧に育てた植木鉢がいくつも並べられている。朝の光を浴び、葉は青々と茂り、小さな花を咲かせるものもあった。しかし、その静かな光景は、隣のベランダから降る埃によって、しばしば乱された。隣人は毎日、大きな布団をベランダで干し、それを何度も叩いた。そのたびに、白い細かい埃が風に乗って舞い上がり、彼女の植木鉢の葉の上に積もった。
埃は、やがて薄い膜となって葉の輝きを奪った。彼女は、濡らした布で一枚一枚拭くのが日課になった。隣の家族は、まだ幼い子供が二人いて、ベランダで楽しげに遊ぶ声が聞こえてくる。彼らの生活の音が、彼女の日常に混じる。彼女は植木を玄関側に移したいと考えた。そこならば埃を気にせず済む。だが、腰の痛みがそれをためらわせた。
ある日の午後、彼女は勇気を出して、隣の主婦に話しかけた。主婦は、彼女の話を申し訳なさそうな顔で聞いた。「本当にすみません。私たちが鉢を動かしますから、もしよろしければ、子供の宿題をたまに見ていただけませんか」。主婦の提案は、彼女にとって意外なものだった。彼女は少し考え、うなずいた。隣人たちはその日のうちに、大きな鉢を一つずつ丁寧に玄関側へ運び終えた。
それから、彼女の生活に新しい習慣が加わった。週に一度、隣の小学生が彼女の部屋を訪れ、算数を教わるようになった。その子は六年生で、特に割合の計算でつまづいていた。彼女は、粘り強く、一つずつ例を挙げながら教えていった。子供は真剣に話を聞き、少しずつ理解を深めていった。
半年が過ぎた。子供は春には中学に進み、部活動に熱中し、以前のように彼女の部屋を訪れることはなくなった。その頃には、彼女の腰の痛みもすっかり治まっていた。埃を気にすることなく、再びベランダで植木を育てたいという気持ちが芽生えた。再び、彼女は隣の主婦にその思いを伝えた。
主婦は、少し考えてから言った。「わかりました。布団叩きは、夕方、家族がいない時間にします。その代わりに、また私たちが鉢を運びますから」。その言葉に、彼女は小さく微笑んだ。数日後、隣人たちはまた、手慣れた様子で植木鉢をベランダへと戻してくれた。
植木鉢は、最初とほとんど同じ配置に戻った。ベランダには再び、彼女の植物たちが並ぶ。違うことといえば、彼女と隣の家族が、お互いの暮らしについて、ほんの少しだけ知っているということだけだった。
——補記:この第一稿は辛口レビューを受け、第二稿で書き直しました。第一稿・レビュー・第二稿を並置して、改稿の過程を記録しています。