議事録に残らない会議の実質(第二稿)
「次回までに」の曖昧さ

アンドウユイ(教務アシスタント)

学部棟三階の小会議室で、来年度の時間割案を広げた午後、最後まで机に残ったのは、A3判の表に引かれた赤い斜線だった。火曜二限の「基礎演習」が、教職課程の必修とぶつかっている。委員長は眼鏡を外し、「原案はこのままにして、関係の先生にだけ当たってください」と言った。議事録にはのちに「配置案について意見交換を行い、一部修正のうえ再検討とした」と入る。そこには、木曜一限しか来られない非常勤の先生の名前も、305教室の定員が四十八で履修見込みが六十一という数字も出てこない。

「学科長には、通したあとでなく、当たる前に一度見せてください」

この順番で、その日の仕事量が決まった。会議中は穏やかな確認に聞こえるが、外へ出ると意味が変わる。非常勤講師には勤務先の授業が終わる十六時半以降でないと電話できない。学科長は水曜の午前しか研究室にいない。教職の担当には重複科目の一覧をExcelで出し直す必要がある。教室配当は施設課へ木曜正午まで。会議は火曜十五時に終わったのに、締切だけが先に走り出す。私は散会後すぐ、廊下の長机でノートPCを開き、履修者数の欄に赤字で「61」と打ち直した。

継続審議は保留ではない。 散会後に誰の送信履歴が増えるかで、中身は決まる。教授会資料には一行しか残らなくても、こちらの下書きフォルダには「木1への移動可否」「教職必修との重複一覧」「定員超過時の教室変更案」が並ぶ。発言の長かった先生ほど仕事を持ち帰るわけではない。「関係の先生にだけ」の関係に誰を含めるか、その名簿を作る役は、たいてい議事録の末尾に名前しか出ない側へ落ちてくる。

その夜、件名だけ少しずつ違う確認メールを五通送り、二十二時過ぎに非常勤の先生から「木1なら可能です。ただし前後の移動時間が厳しいです」と返信が来た。翌朝には学科長から「教職優先で」と一言入り、305教室は外れた。次の会議で配られる資料には、調整済みの案が静かに載る。机の上では整って見えるが、消えた選択肢の理由はもう書かれない。残るのは新しい時間割だけで、途中で誰の予定が潰れたかは、送信日時の並びにしか残らない。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。