ハロウィンの、翌朝(第二稿)
一夜で季節を入れ替える仕事

ミブカレン(24歳・100円ショップの品出し6年)

10月31日の閉店後から、翌朝の開店までが、私たちの一夜だ。昼までオレンジと黒だった売り場を、今夜じゅうに全部崩して、同じ場所に赤と緑と金を積む。明日の朝、客はクリスマスの売り場の前に立つ。崩した什器のスチールは、閉店後の三十分でもう冷たい。閉店後だけ聞こえる音がある。客の声が消えると、冷蔵ケースのコンプレッサーが、ずっと低く回っていたのが分かる。

撤収は、手で三つに分ける。値下げワゴンへ回すもの、本部へ返品するもの、廃棄に出すもの。分け方は、箱と印刷で決まる。外箱がつぶれていれば返品はきかないから廃棄。箱がきれいで印刷も擦れていなければ、値下げシールを貼って来年もう一度棚に出せる。カボチャのバケツを手に取ると、店頭で子どもがさんざん握ったらしく、持ち手の塗装が剥げて白く下地が出ていた。返品はきかない。値下げにも出せない。私はそれを廃棄の箱に入れた。となりのバケツは塗装が無事だったので、半額のシールを重ねて貼り、値下げワゴンの箱へ回した。同じ商品が、握られ方で行き先を分ける。

撤収が半分終わるころ、倉庫からクリスマスの箱を出す。この箱は10月3日に届いていた。一か月、倉庫の隅で待っていた箱だ。待たされた箱はフタの合わせ目が違う。倉庫の湿気を吸って段ボールが軟くなり、刃の二ミリが、出荷したての箱より少し深く入る。深いと中身まで切る。だから待った箱には、いつもより刃をあずける角度を浅くする。一か月待った箱の開け方は、届いたばかりの箱とは違うのだ。中で、赤と緑と金が、一か月ぶんの暗がりを詰めて待っている。

昨日まで蜘蛛の巣のフィルムを貼っていた什器の同じフックに、今度はサンタの靴下を掛ける。フックの位置は変えない。客の目の高さは季節で変わらないからだ。蜘蛛の巣を掛けていた手が、同じ高さに靴下を掛ける。私の手は、季節より棚を覚えている。

開店前の最終チェックは、指でやる。値札の向き、フェイスの揃い、シールの折れを、端から指の腹でなぞる。折れたシールは爪で起こす。シャッターが上がる。最初に入ってきた人が、赤い棚を見て足を止め、「えっ、もうクリスマス?」と笑った。その後ろから来た人は、まっすぐオーナメントの棚へ行き、星形の金のを二つカゴに入れた。「去年これ、来たときには売り切れてたの」と、レジで私に言った。同じ棚が、昨日売り切れた人には待ち伏せの場所で、今日初めて見る人には先回りの場所だ。

前倒しは、年で速くなっている。去年、クリスマス用品の最初の問い合わせはハロウィン当日だった。今年は10月25日に来た。「クリスマスのって、もう出てます?」と。ハロウィンがまだ棚にあるうちに、次の季節を聞かれる。私たちの棚は、客がいま生きている季節の、ひと月先を並べている。

いちばん渋滞するのは2月だ。節分の恵方巻きの巻きすやプラの鬼の面と、バレンタインのラッピング袋とハート形のシールが、同じ通路で肩を並べる。鬼の面の隣にハートが掛かっている数日がある。その通路を、私は鬼の面を右へ、ハートを左へと、手で押し分けながら品出しする。閉店後にまた一夜が来て、鬼もハートも畳まれ、同じフックにひな祭りが掛かる。今夜のカボチャと同じだ。私はまた刃をあずける角度を、箱に合わせて決める。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。