音声メディアを文字で再現する実験。「えーと」も「あー」もそのまま。編集なし、台本なし、コーラあり。
AI音声(edge-tts)による読み上げ版。ソノダ=NanamiNeural、タケウチ=KeitaNeural
ソノダ えー、はい。というわけで、なんか始まっちゃいました。ポッドキャスト。第1回。ゲストは——
タケウチ タケウチです。どうも。
ソノダ タケウチくん、16歳。高校生。
タケウチ はい。で、ソノダさんは——
ソノダ 36歳。無職じゃないけど、何やってるか説明しにくい人。
タケウチ (笑)それ自己紹介として成立してないっすよ。
ソノダ うるさいな。じゃあタケウチくんから質問してよ。なんでも。
タケウチ じゃあ聞きますけど。ソノダさん、なんで100本も書いたんすか。マンションポエムの記事。
ソノダ あー……うん。よく聞かれる。
タケウチ 暇なんすか。
ソノダ 暇じゃないよ……たぶん。
タケウチ 「たぶん」って何すか。
ソノダ いや、あのね。最初は1本だけのつもりだったの。マンションの広告が面白くて、「上質がそびえる」って何だよ、って。それを書いたら、次が見えて。次を書いたら、また次が見えて。
タケウチ ゲームの次のステージが開放される感じ?
ソノダ あ、そう。それ。そういう感じ。1面クリアしたら2面が出てくる。高校パンフ、SaaS、科研費、弔辞——
タケウチ 弔辞にもポエムあるんすか。
ソノダ あるよ。すごいよ。でもそれは今度話す。
タケウチ でも100本って。俺、夏休みの読書感想文1本書くのに3日かかるんすけど。
ソノダ 読書感想文と一緒にしないでよ(笑)。あれは苦行じゃん。楽しくないから3日かかるの。楽しいものは——あー、なんていうかな。止まらないの。
タケウチ ソシャゲと同じ理屈じゃないすか。
ソノダ ……否定できない。
ソノダ そういえば、タケウチくんが前にLINEしてきたじゃない。「LINEのグループ名って全部嘘じゃないですか」って。あれ、あのあとどうなった?
タケウチ あー、あれっすね。結局「1-3」にしたんすよ。グループ名。シンプルに。
ソノダ 覚えてる。盛らなかったんだよね。
タケウチ で、なんか最近さらに気づいたことがあって。
ソノダ おっ。
タケウチ 文化祭のスローガンっす。実行委員が募集してて。候補がいくつか出てるんすけど。
ソノダ 聞かせて。
タケウチ えーと。「輝け、私たちの青春」。「限界突破」。「今しかない、この瞬間」。あと「笑顔が主役」。
ソノダ ……
タケウチ ソノダさん、今すごい顔してますよ。
ソノダ してない。してないけど。うん。あのね、「輝け、私たちの青春」は——
タケウチ 高校パンフと同じ構造っすよね。
ソノダ そう! 「一人ひとりが輝く」と同じ。何が輝くのか、どう輝くのか、一切不明。
タケウチ 「限界突破」に至っては、何の限界かもわかんないし。
ソノダ 体力の限界なのか、予算の限界なのか。
タケウチ (笑)予算の限界突破はやめてほしい。
ソノダ で、どれに投票したの?
タケウチ ……「限界突破」。
ソノダ ほら。
タケウチ いや、わかってるんすよ! ポエムだってのは。でも文化祭のスローガンに「実行委員の業務を30%効率化する」とか書けないじゃないすか。
ソノダ (笑)それはそれで面白いけどね。
タケウチ テンションの冷凍保存、ってソノダさん言ってたけど。文化祭のスローガンって、冷凍保存するためのテンションなのかもしれない。最初から。
ソノダ ……うん。それ、すごくいい指摘。
タケウチ え、マジすか。
ソノダ LINEのグループ名は、テンションが高い瞬間に名前をつけるんだよね。冷凍保存される。でも文化祭のスローガンは違う。まだ何も始まってない段階で、テンションを作り出すために名前をつける。冷凍保存じゃなくて、解凍の逆——
タケウチ 加熱?
ソノダ 加熱(笑)。そうかも。ポエムには「冷凍保存型」と「加熱型」がある——いま初めて気づいた。タケウチくんのおかげで。
タケウチ 俺、今いいこと言いました?
ソノダ 言った。メモした。
タケウチ ソノダさんに前から言いたかったことがあるんすけど。
ソノダ どうぞ。
タケウチ 大人の言葉って、遠回りすぎません?
ソノダ ……例えば?
タケウチ えーと。ソノダさんの記事でも、「ポエマイゼーションは言葉が事実から離陸するプロセスである」とか書くじゃないすか。
ソノダ 書いた。
タケウチ それって要するに「盛ってる」ってことっすよね。
ソノダ ……。
タケウチ 「盛ってる」の4文字で済むことを、なんか飛行機の比喩まで使って——
ソノダ 待って待って。「盛ってる」と「事実から離陸する」は違うの。
タケウチ 同じっすよ。
ソノダ 違うの! 「盛ってる」は主観でしょ。「あいつ盛ってんな」って判断を含んでる。「事実から離陸する」は——
タケウチ 盛ってるのを上品に言い換えてるだけじゃないすか。
ソノダ ……
タケウチ あれ、ソノダさん黙った。
ソノダ いや、半分くらい当たってるから悔しくて黙った。
タケウチ (笑)
ソノダ でもね、逆のことも言っていい?
タケウチ どうぞ。
ソノダ 16歳の言葉は直球すぎるよ。
タケウチ え。
ソノダ タケウチくんが日記に「墓場だった」って書いたじゃない。LINEのグループ一覧を見て。
タケウチ 書きました。事実なんで。
ソノダ 事実だよ。でもあれを読んだ「3年2組最強」のメンバーがいたらどう思う?
タケウチ あー……。
ソノダ 「墓場」って書かれたら、ちょっとキツくない? 自分たちのグループが「死んだ」って言われてるわけだから。事実かもしれないけど、事実をそのまま言うことが常に正しいわけじゃない。
タケウチ ……大人が遠回りするのって、そういう理由もあるってことすか。
ソノダ 半分はね。残りの半分は——本当にただの逃げ。上司の「エッジを効かせて」みたいに、自分でもわかってないからぼかしてるだけのやつ。
タケウチ 半分は優しさで、半分は逃げ。
ソノダ そう。で、どっちなのかは、文脈を見ないとわからない。
タケウチ 面倒くさ。
ソノダ 面倒くさいよ(笑)。大人の世界は面倒くさいの。
ソノダ ちょっとまとめていい?
タケウチ まとめたがるのも大人の特徴っすよね。
ソノダ うるさい(笑)。えっと、タケウチくんが私に指摘してくれたのは、大人は言い換えが多すぎるってこと。「盛ってる」を「離陸」って言い直す必要あるのか、と。
タケウチ はい。
ソノダ で、私がタケウチくんに指摘したのは、若い人は事実をそのまま出しすぎるってこと。「墓場」は事実だけど、そのまま出すと人を傷つけることがある。
タケウチ つまり——
ソノダ 大人の盲点は「遠回りしすぎて中身が消える」こと。ポエマイゼーションの蒸発。16歳の盲点は「直球すぎて相手を殴る」こと。
タケウチ 殴るって言い方——
ソノダ ほら、直球でしょ。
タケウチ あー。やられた。
大人の言葉は遠回りしすぎて中身が蒸発する。
16歳の言葉は直球すぎて相手にぶつかる。
ちょうどいい場所は、たぶんその間のどこかにある。
——でもその場所を、まだ誰も正確には知らない。
タケウチ 結局わかんないんじゃないすか。
ソノダ わかんない。でも「わかんない」を言えることが大事なの。100本書いてわかったことのひとつ。
タケウチ 100本書いて出た結論が「わかんない」なの、結構ウケるんすけど。
ソノダ ……うん、自分でもちょっと笑ってる。
タケウチ 最後に聞いていいすか。
ソノダ どうぞ。
タケウチ 次は何書くんすか。
ソノダ わかんない。
タケウチ また「わかんない」っすか。
ソノダ だって本当にわかんないんだもん。ネタは読者が持ってきてくれるから。タケウチくんがLINEのグループ名の話を持ってきたみたいに。サトウさんが「エッジを効かせて」を持ってきたみたいに。私は自分からネタを探しに行かない。目の前に面白いものが転がってきたら拾うタイプ。
タケウチ それ、暇じゃないと無理じゃないすか。
ソノダ だから最初に言ったでしょ。暇じゃない、たぶん、って。
タケウチ 「たぶん」の理由がわかった気がする。
ソノダ (笑)
タケウチ じゃあ俺が次のネタ持っていってもいいすか。
ソノダ もちろん。何でも。
タケウチ 文化祭のスローガン、最終的にどれになったか報告しますよ。
ソノダ あ、それは聞きたい。絶対聞きたい。
タケウチ じゃ、そのとき第2回で。
ソノダ 第2回があるんだ。
タケウチ 知らないすけど。あるんじゃないすか。
ソノダ (笑)ありがとうございました。えー、ソノダマリのポッドキャスト第1回、以上です。
タケウチ おつかれっした。
収録後のソノダの走り書き——