辛口レビュー
——「あいにく」(第一稿)について

編集者(匿名)による第一稿への指摘。対象:日程調整メールの修辞 #2(第一稿)/書き手:キリシマミサキ

全体要旨

第二回は、第一回の批評で指摘された癖(宣言から始まる、心理学用語、自己引用、シリーズ予告)が抑制されており、運用が改善している。「あいにく」「やむを得ない」「重ねての」など、リスケ特有の語彙の解剖は、書き手の秘書としての職能と整合し、シリーズの主題に沿っている。問題は、本作で別の癖が浮上していること:(1)各 section が「秘書ノウハウ」のチャプター構成、(2)理由の書く・書かない例の二並列、(3)詫びの三段構成と「軽量化/重量化」の調整論、(4)結末の「緩衝材」アフォリズム。

1. ノウハウ書のチャプター構成

section-label:「あいにく」の役割/理由を、書くか書かないか/「やむを得ない事情」の便利さ/新候補の出し方/「差し支えなければ」のクッション/詫びの重さの調整/「あいにく」の限界/変更を含む関係性

八つの section-label が並ぶ。それぞれ独立したテーマで、いかにも「ビジネスメールの教科書のチャプター構成」になっている。読者は、本文を読みながら「ああ、ノウハウ書のような構成だな」と気づく。第一回の批評で指摘された「ビジネス系自己啓発本の章構成」が、第二回でも再発している。

第二稿では、八つを四つか五つに減らす。「『あいにく』の役割」「理由の書き方」「詫びの重さ」「変更を含む関係性」程度の主要な見出しに絞り、章構成のノウハウ書感を薄める。

2. 理由の書く・書かない例

理由を書く場合の典型例:「急遽、上席の不在対応を依頼されまして」「子どもが体調を崩しまして」「先方からの緊急の打ち合わせ依頼が入りまして」
理由を書かない場合の典型例:「あいにく、急遽予定が入りまして」「やむを得ない事情により」「社内事情により」

「書く」の例三つ、「書かない」の例三つ、と対称的に並べている。前シリーズで批評された「箇条書き並列の癖」の再発。書き手の秘書としての観察として正しいが、エッセイで読むと、辞書編集者の作法に近い。

第二稿では、両側の三例を二例に減らすか、地の文で「『子どもが体調を崩しまして』のように具体に書く場合と、『やむを得ない事情により』のように伏せる場合」とまとめて書く。並列で対称化しない。

3. 詫びの「軽量化/重量化」の調整論

軽量化する場合:「誠に勝手ながら」を「お忙しいところ恐縮ですが」に変える、結末の詫びを省略する、などで、詫びを薄めます。重量化する場合:冒頭に「直前のご連絡となり」を加える、本題の詫びを「重ねてのご無理を申し上げ、誠に恐縮です」に変える、結末で「今後このようなことのないよう」を入れる、などで、詫びを厚めにします。

「軽量化/重量化」の二並列で、それぞれ三つの調整方法を列挙している。これは秘書ノウハウとして実用的だが、エッセイの本文で読むと、「リスケメール調整マニュアル」の項目欄を読んでいる感覚になる。書き手の本業の作品見本として整理されている。

第二稿では、軽量化/重量化の二並列を解体する。「詫びの重さは、相手と関係性によって調整する。重くするときは『重ねてのご無理』を入れたり、軽くするときは結末の詫びを省略したりする」程度に、地の文に溶かす。

4. 「緩衝材」アフォリズム

「あいにく」「やむを得ない」「差し支えなければ」「重ねての」——これらの語彙は、変更を含む関係性のなかで、双方の体面を保つための、薄い緩衝材です。

結末の「薄い緩衝材」は、第一回の「薄い愛情」と同じく、書き手のキャッチフレーズ化への癖。第一回の批評で「薄い愛情」を取るよう指摘した結果、第二稿では「薄い緩衝材」に置き換わっただけ、という形になっている。

第二稿では、「緩衝材」も「愛情」と同じ書き手の比喩癖として認識し、取る。「これらの語彙は、関係性が変更を吸収するための、形式の一部です」と平らに書く。比喩を使わない。

5. 「秘書業務では、せいぜい一年に一回までを目安に」

秘書業務では、同じ相手に対する「やむを得ない事情」のリスケは、せいぜい一年に一回までを目安にしています。

これは秘書業務の実務ルールとして書かれているが、「目安にしています」という言い方が、書き手の秘書としての権威付けに近い。本シリーズは、秘書のノウハウ集ではなく、メールの修辞の解剖を主題にしているので、書き手の業務ルールを開示する箇所が増えると、シリーズの主題から逸れる。

第二稿では、この一文を削るか、「実感として、同じ相手に何度も使うと、効力が落ちます」程度の経験的な書き方にする。「秘書業務では」「目安にしています」を取る。

6. 「電話で詫びることも検討します」の業務指南

三度目のリスケになる場合は、メールではなく、電話で詫びることも検討します。電話のほうが、声のトーンで詫びの重さを伝えられます。

業務指南としては正しいが、本シリーズの主題(メールの修辞)から、電話運用の話題へ逸れる。エッセイの射程が広がりすぎる。

第二稿では、この段を削る。メールの修辞だけに集中する。「メールで処理しないほうがいい場面もある」一文を残せれば十分。

総括と方向

第二回は、リスケ特有の語彙(「あいにく」「やむを得ない」「重ねての」)を扱う設計が良く、シリーズの主題に沿っている。問題は、本作の章構成と書きぶりが、ビジネスメール教科書・秘書ノウハウ書の作法に乗っていること。書き手の業務ノウハウを丁寧に開示するほど、エッセイがノウハウ書化する。

第二稿に向けて:

シリーズの主題(メールの修辞の解剖)に集中し、業務ノウハウの開示は最低限に。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。