房の、仕上げ(第二稿)
組み終わった紐の、最後の一発のこと

タチハラスズ(30歳・組紐職人8年)

組み終わった帯締めには、両端に糸が残る。組まずに残したその束を整えるのが、房だ。組みは何日もかけて、迷えば直しながら進められる。房は違う。長さを決めて、鋏を一度入れたら、それで終いだ。机に組み上がった紐を置き、端を櫛で梳いて糸の向きを揃える。定規を当て、切り口を決める。ここから先は、戻れない。

揃えたつもりでも、切ったあとに一本だけ短く見える、ということがある。梳いているときは真っ直ぐに見えた一本が、鋏を抜いた瞬間に、わずかに引けて短く落ちる。もう一度切れば、房全体が短くなる。だから切る前に、束を二度梳き直し、灯にかざして、飛び出した一本を抜いておく。鋏を入れる一秒は、その前の梳きで決まっている。私は鋏より、櫛のほうを長く持っている。

房には形がある。切り房は、端をまっすぐ切り揃えたもの。礼装の帯締めに使う。撚り房は、糸を何本かに分け、一房ずつ指で撚りをかけて細い棒のようにしたもので、ふだん使いに多い。撚り房で難しいのは、撚りが戻ることだ。指で転がして撚りを入れても、放せばゆるむ。だから撚った先を、湯のしの蒸気で一度締めて、撚りに癖をつけて留める。撚ってすぐ蒸す。順を間違えると、房がほどけて戻る。

切ったばかりの房には、組み台で巻かれていた癖や、染めの曲がりが残っている。やかんの口の蒸気に、房を当てる。当てる時間が肝だ。さっと通せば癖が伸び、当てすぎれば絹の艶が引けて、染めのときと同じで、ごわつく。一度ごわついた房は戻らない。だから二、三秒。湯気をくぐらせて、すぐ離す。離した直後に指で軽くしごくと、その形でおさまる。蒸気が長いか短いかは、湯気の立ち方ではなく、房を持つ指の熱さで計る。釜の前と、手は同じだ。

修理の帯締めを見ていると、痛むのはいつも房だ。締める真ん中はまだ芯が通っているのに、両端の房だけが痩せている。引き出しで折られ、抜き差しでこすれ、結ぶ手でしごかれて、締める部分より先に房が減る。締めるところは無事で、房が先に死ぬ。そういう使われ方を、房は隠せない。

古い房は、仕舞い方をおぼえている。きちんと畳んで紙に巻かれていた房には、畳んだ折り目がまっすぐ残る。丸めて引き出しに放り込まれていた房は、よじれて、灯にかざすと撚りがばらけている。畳み癖の房を継ぐときは継ぎ目が出ないが、よじれた房は、湯のしで一度伸ばしてからでないと、新しい糸の向きと合わない。房のよじれの深さで、その家がこの一本をどう扱ってきたかが、おおよそ分かる。

仕上げた帯締めは、最後に自分の腰で一度締める。検品だ。見るのではない、締める。締めたときに緒が指に食いつくか、結び目がすわって動かないか、ほどくときに絹が鳴って素直に抜けるか。この三つを手が確かめる。食いつきが甘ければ組みが緩い。抜けが渋ければ撚りが強すぎる。どこを直すかは、締めた手が決める。私の腰で渋ければ、買った人の指でも渋い。だから締め直し、もう一度抜いてみる。

櫛で二度梳く。灯にかざして、飛び出した一本を抜く。鋏を入れる。撚って、蒸気を二、三秒くぐらせ、指でしごく。最後に、自分の腰で締めて、抜く。抜けが渋い。撚りが強い。やり直す。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。第一稿への辛口レビューを経て書き直した第二稿です。