半日の運動会
校門前の駐車場で、父親と母親

五月の土曜、晴れ。小学校の校門前、白線の引かれた来客用駐車場。土曜参観日が終わって、保護者が三々五々、車に戻っていく。父親は三十代後半、初めての参観(妻が体調を崩して代役で来た)。母親は四十代前半、何度目かの参観。子ども同士が同じクラスで、名前経由で互いを薄く知っている、月一程度の知り合い。父親は半袖シャツの上に薄いジャケット、母親は日傘を畳みかけている。風が少しある。

校門の外で

父親あ、ども、お疲れさまです

母親あ、お疲れさまです、こんにちは

父親えっと、ハルくんの

母親はい、はい、ハルの母です。リョウくんの、お父さん

父親そう、です、リョウの、父です。すいません、いつも、その、ハルくんに遊んでもらってて

母親いえいえ、こちらこそ、お互いさまですよ

父親、半歩、肩の力が抜ける。鞄の持ち手を持ち替える。

父親今日、はじめてで

母親あ、参観日

父親そうなんです、妻が、ちょっと、熱っぽくて

母親あらら、大丈夫ですか

父親たぶん、寝てれば、明日には

母親そういうの、ありますよね、五月、急に

父親急に、ですね

母親どうでした、参観

父親いやー、緊張して

母親緊張

父親子どもじゃなくて、こっちが

母親分かります、最初、廊下で立つ位置から、迷いますよね

父親迷いました、後ろの壁、ぴったり

母親みんな最初、壁ですよ

お手紙の話

校門から出てきた子どもの集団が、駐車場の脇を駆け抜けていく。母親、目で追う。

母親あ、そういえば、来ました? 給食費の

父親あー、なんか、妻が、なんか言ってたな

母親来月から、ちょっと、上がるって

父親上がるんですか

母親うん、あの、お手紙、ランドセルの底に、ぐしゃっと

父親うちも、たぶん、ぐしゃっと、なってます

母親ですよね

父親気づいたら、月末

母親そうそう、月末に、引き落としで、あれ、と

短い間。風が吹いて、母親の前髪がほんの少し揺れる。

父親でも、まあ、しょうがない、ですよね

母親しょうがない、ですね、いろいろ

父親いろいろ

母親あの、運動会、ご存知です?

父親運動会、あ、秋の

母親うん、今年から、半日

父親半日

母親午前で、終わり、お弁当、なし

父親えっ、お弁当、なし

母親そう、家で、食べる

父親……それは、その、楽でいい、というか

母親うん、楽は、楽

父親けど

母親けど、ね

父親なんか、こう

母親

二人、同時に、少しだけ笑う。校庭のほうから、放送のチャイム。

スマホとLINE

父親うちのリョウ、スマホ、欲しがってて

母親あー、その時期、来ましたね

父親学校って、持ってきていいんでしたっけ

母親うちは、ダメ、ですね、原則。届け出があれば、持ってきていいけど、ロッカーに入れて、出さない

父親あ、そういう感じ

母親学校によって、違うって、聞きますけど、うちは、まだ、固め

父親そっか

母親でも、家に帰ってからは、もう、みんな、持ってますよね

父親持ってます、ね、学童の帰りに、もう

母親学童、入れてます?

父親あ、はい、なんとか、四年から、ちょっと、枠が

母親あー、枠ね

父親はい、枠

母親みんな、そこで、苦労してます

父親苦労、しますね

母親、日傘を、開かないまま、ぐっと握りなおす。

母親あ、そうだ、もしよかったら、クラスの、お母さんたちのLINE、ありますけど

父親あ、はい、その、妻のほうに

母親そうそう、奥さまに、お伝えいただければ

父親すみません、いつも、妻が、お世話に

母親いえ、お互いさま、ですから、本当に

父親……はい

短い間。父親、少し、間を置いて、息を吐く。

楽しんでる、らしいです

父親あの、つかぬこと、聞いてもいいですか

母親はい

父親で、お子さん、楽しんでます? 学校

母親……楽しんでる、らしいです

父親らしい

母親はい、こっちには、何にも、言わないんですけど

父親はぁ

母親連絡帳に、先生が、ちょこっと、書いてくれて

父親あー、先生

母親「今日も、楽しそうにしていました」って、たまに

父親いいですね、それ

母親ね、こっちが、ほっとする

父親うちも、たぶん、なんも、言ってこないので

母親言わないですよ、そういうの

父親言わない、ですね

校門のところで、リョウとハルらしき二人が、手を振っている。父親、母親、どちらも、ちょっとだけ、振り返す。

母親あ、呼んでる

父親呼んでます

母親じゃ、これで

父親はい、あの、今日は、いろいろ、ありがとうございました

母親いえ、こちらこそ、奥さまに、お大事に、と

父親伝えます

母親来週、また、何かあったら、連絡帳、ぐしゃっと、確認してください

父親ぐしゃっと、確認します

二人、小さく頭を下げる。母親は校門のほうへ、父親は駐車場の奥に停めた車のほうへ歩いていく。途中で父親、もう一度、軽く振り返って会釈する。母親も、日傘を持ったまま、片手をちょっとだけ上げる。風が、もうひと吹き、来る。

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このページの記事はAI(ChatGPT)を用いて作成・編集されています。登場人物・場面はフィクションです。