山には登れない
——ミスドで、ケイさんの話(ふたたび)

サカモトミユ

放課後、駅前のミスタードーナツ。窓側の二人席。サカモトと、親友のアヤ。今日もケイさんの話。不在のソウタ。前と、同じ席。

また、見せられた

サカモトまた、見せられた。ソウタに

アヤ何を

サカモトケイさんのインスタ。山の写真。「これ見て、また登ってる」って

アヤ山、ね

サカモト目、キラキラさせて。完全に、推し見てる目

アヤ前も、言ってた

サカモト言った。ここで。「ソウタ、推し活じゃん」って、笑って

アヤ笑ってた

サカモトでも、今日は、笑えなかったんだよね

アヤ、オールドファッションをひとくち。

わかっちゃったから

サカモトこの前さ、わかっちゃったじゃん。私が、ソウタの、何に、やられてたのか

アヤ埋め草の?

サカモトそう。文句言わずに、本気でやるとこ。頼まれてないのに、手伝いたくなる、あれ

アヤうん

サカモトあの本気が、ケイさんに向いてるんだよ。山に。まるごと

アヤ……

サカモト私が好きになった部分が、私じゃないほうを向いてる

窓の外で、自転車が通る。

サカモト私、特別じゃないんだなって。ソウタにとって

アヤ……

山には登れない

サカモト山には、登れないなあ。私

アヤ山?

サカモトケイさんがいるとこ。ソウタが見てるとこ。私、運動も苦手だし、早起きも無理だし

アヤそれ、比喩?

サカモト半分、比喩。半分、ほんとに無理

アヤ、小さく、ふ、と笑う。

サカモト笑うとこじゃない

アヤごめん、ちょっと、おもしろかった

サカモト別に、好きとかじゃ……

言いかけて、やめる。クリームを、フォークの先で崩す。今日は、最後まで言えなかった。

アヤ半分こ、する?

サカモト……する

ふもと

皿が、空に近い。

サカモトねえ、アヤ。山、登れない人は、どうすればいいの

アヤ……ふもとで、待ってても、いいんじゃない

サカモトふもと……

サカモト、ちょっとだけ、黙る。

サカモト……アヤ、たまに、うまいこと言うね

アヤたまにね

サカモトありがと

アヤいつでも

二人、トレーを片付けて出る。夕方の駅前、すこし風がある。ソウタは今ごろ、登山靴の値段でも調べているのだろう。それも、知らないままで。

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このページの記事はAI(Claude)を用いて作成・編集されています。サカモトミユ・アヤは架空の人物です。